ビーズと私の好きな  モノ・コト
by mici_no_suke
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路上から119番

街を歩いていて突然「すみません‥救急車、呼んでもらえませんか‥」と
頼まれる経験は誰にでもあることではないと思う。が、昨日の私に起こった。

所用で出かける最寄り駅への道すがらの出来事。多分一番気温が高かっただろう
14時少し前(あぢ〜。予約の時間を間違えたな‥)と思いつつ日陰を選んで
ゆっくりゆーっくりと歩き、小さな公園の脇を通り過ぎようとしたとき‥
聞こえてきた。「き‥救急車を‥」という絞り出すような声。はっ、と見ると
グレイの長袖Tシャツ(汗でまだらに黒くなってる)に作業ズボン(同じく)、
頭にタオルを巻いた建設作業員とおぼしき男性。一応立ってはいるのだが膝に
手をつき「からだが‥痛くて‥う、動けない‥」と身をよじっている。

(熱中症だ!)「ちょっと待ってね、すぐに呼びます」と携帯から119。
「東京消防庁です。火事ですか?救急ですか?」に「救急車をお願いします」
「わかりました、場所は?」と訊かれてさて、しょっちゅう通るのに公園の
名前を覚えていない。(えーと、街路灯の番号とか‥)と見回すと看板が
見えたので走って行って「××橋公園です」「住所は?」
‥うー、看板には管理事務所の電話番号しか書いてないよ(区役所のひと、
今度住所も書いておいてね)。「多分T町西です」「何丁目?」「えーと、
えーと、1か2」なんて話していたら「今、地図見てます。あ、わかりました。
すぐ救急車行かせます」

男性のところへ走り戻り「救急車、すぐ来ますから」と言うと、安心したのか
へたり込んでしまった。「植木屋さん?」と訊くと首を振る。公園の手前の
遊歩道で下草を刈っている一団がいたのだが違うらしい。
「うえ‥です‥」公園の脇は崖。その上の土地が今造成中で、確かに重機の
音が聞こえる。階段をヨロヨロと走って登り(もう汗だく‥)警備の女性に
声をかけた。「お仲間が下で倒れてます。もう救急車は呼びました」
「えーっ? ありがとうございます!」と警備員と作業員たちが駆け下りて
「おい、だいじょうぶかっ」「横になれ」「足をあげよう、角材もってこい」
などなどお仲間の面倒を見はじめた。

(やれやれ)と思ったところで、携帯電話が、鳴る。
「そちらに向かっている救急隊員ですが、119番された方ですか?」「はい」
「事前に情報を知りたいのですが‥」
以前一度救急車を呼んだことがあったけれど、こんなことはなかった。
「倒れている方は男性ですか? 女性ですか?」「男性です」「意識は?」
「あります、話せます」「出血とか、吐いたりとかは‥」「ありません」
「えーと、年代はどのぐらい?」
‥はて?と、唸っている男性の側にしゃがみ込み「すみません、お歳は?」
「よんじゅう‥に」
で、以後私を通していろいろ会話「持病はありますか?」「血圧が、高い‥」
「かかりつけの病院はありますか?」「嫁が病院‥」「奥さまのご実家が
病院だそうです」「ち、が、う‥。勤めてる」「あ、勤務されてる病院がある
そうです」「どこですか?」「M市の‥わすれた‥なんだっけ‥あ、S病院」
息も荒く「うぁ、足が、太ももがつったー」などと苦しんでいるのに質問攻めに
して、なんだか申し訳ない気持ちになる。

公園脇はそこそこ人通りのある道で、私が患者インタヴュー(?)をしている
間に数人の女性が集まってきていた。日傘で陰を作ってあげるひと。
「ポカリスエットあるけど、飲みます?飲めます?」と口元に運んであげる
ひと。バッグから出したタオルを公園の水道でびたびたにして「これ首に
巻いてあげて」と作業員の仲間に差し出すひと。
今年は7月から猛烈な暑さだったからか、みなさん熱中症に関する知識も
豊富なようだ。どなたかが「熱痙攣でしょ多分。大丈夫よ、病院で点滴して
もらえば治るわよ」と‥。

そうこうしているうちにサイレンが聞こえてきた。警備員さんが誘導に走る。
救急隊員3人とストレッチャーが飛んでくる。
作業のチーフらしき人が「仕事は9時から。でも調子が悪そうだったので、
昼前から日陰で休ませてたんですけど」など経緯を説明しているのをぼんやり
訊きながら(あ‥約束が。行かなくちゃ)。「もう行っていいですか?」と
隊員にことわってから、その場を離れたのだった。
ちなみに長々と書いたが、一部始終はほんの15分間ぐらいの出来事。

倒れた作業員さんはがっしりとした体格で日焼けして、外での作業には慣れて
いそうな感じだったのだけれど、それでも熱中症になってしまうのですね。
どうしたかなぁ。入院したかな。点滴だけでおさまって帰れたかな。


ところで、今朝新聞をみたら23日の午後、同じ杉並区で部活動の罰として
科されたランニング中に高校生が熱中症で倒れ、意識不明の重体になっている
という記事が出ていた。
なんてこと!
当日の気温は32℃と記事にはあったが、屈強な大人の男性ですら倒れるという
のに、まだ身体もできていない高一の男子。炎天下を10㌔近く走らせ、顧問は
目を離した時間もあったようで、都の教育委員会が「体罰に当たる」としたのも
当然だろう。
生徒さんの無事を、回復を祈っています。


by beads-mici | 2017-08-26 17:43 | 日々のこと
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