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ビーズアクセサリーの
デザイン・制作を手がけつつ フリーランスのライター& スタイリストとしても活動中 好きなモノ・気になるコトを 綴っていきます *ビーズアクセサリーの お取り扱いは下記にて‥ CINQUIEME-サンキエーム- カテゴリ
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流転・愛するものがまたひとつ‥‥
メインストリート、と呼ぶのはいささか大げさだが、商店街を貫く一本の道に
面した駅の南側。河にかかる小さな橋を渡ってすぐのところに、その店はある。 ‥‥あった。 “ヴィノテーク”。 料理店。1996年4月13日に開店し、昨日‥2014年9月6日に閉店した。 哀しい。哀しすぎるよ。今年の春の開店記念日に仲間たちと「来年は20周年 だから、盛大にお祝いしようね」と話していたのに‥持ちこたえられなかった。 悔しい。悔しすぎるよ。なにがアベノミクスだ、景気回復だ。 行列ができるほどではなかったが多くの常連が集い、そこそこ繁盛している (ように見えた)店だったのに。もちろん20年近くが経っているからさまざまな 設備が古くなり‥製氷機が壊れた、とかクーラーを交換しなければ‥など、不意の 出費が増えてたいへんだったのは訊いていた。でも、消費税8%への引き上げが 致命傷だったみたいだ。 これからシェフは、チョコレート工場で働くのだとか。次の仕事を決めてからの 告知だったので、お知らせから閉店まで数日‥というあわただしさ。最後の 3日間は驚きあわてて駆けつけたお客があふれ、立ち飲み屋さん状態だった。 ピザの専用釜がない厨房で、短時間でパリッと焼き上げるために編み出された パエリャパンに生地を敷くという独特の手法。周りのひらひらした生地がカリッ カリで、ワインがすすむのだ。 放っておくといつもこれを頼むので、別に食べたいメインがあるときは交渉が たいへんだった(笑)。 あまりに美味しそうで、シェフのご機嫌を伺いつつたまに作ってもらっていた。 これは、和食で言えばお茶漬けみたいなものだから、と開店当時のメニューには 乗っていなかったものだ。オープン翌日に行った我々が「アリオリはないの?」 と訊いたことからデビューに至った一皿なのだ。 ああああ‥‥これらの美味が味わえなくなることだけが哀しいのではない。 もちろん、フレンチで修行を始めたというシェフだからソースが絶品。 素材の良さをシンプルに味わうイタリアンに深い味わいのソースが加わるから、 いつ行っても、何度食べても飽きない。 しかし‥それよりなにより魅力だったのが、実直でちょっと不器用な彼の人柄に 魅かれて集まるこれまた魅力的な人々。 お客が、自分が飲みたい、あるいはみんなに飲ませたいワインを1本ずつ持って 集まるワイン会や、近くの公園で開くBBQパーティなど、ユニークな催しを 通して親しくなった仲間は数えられない。 たとえばこれは、雨が降ってしまった ときのBBQ。仕事をサボったてるてる 坊主くんをはりつけにし(笑)店内で炭火を熾して強引に肉を焼いたっけ‥。 そうした愉しい機会を祝う席はいつも “ヴィノテーク” で、であった。 片割れのどちらかが “ヴィノテーク” の常連さんだったら、みんなで結婚を 祝ったものだった。人と人を結びつけるシェフの力‥「美味しいねぇー」って みんなでシェアするお料理に「なんか、魔法の調味料が入ってない?」と 言わせるような、摩訶不思議なあったかい空間が “ヴィノテーク” だった。 哀しいよ。悔しいよ。なんで、みんなに相談しないで閉店を決めちゃったの ‥宮地さん! そんな言葉が飛び交ったこの3日間。 昨日、大ラスの夜は、私は店に顔を出せなかった。我が家代表(笑)でツレに 行ってもらったのだけれど、だって絶対わんわん泣いてしまいそうだったから。 ずーっと過ぎてまで居座り「グラッパくださいな」なんて言ったら‥これだよ。 なみなみ‥なみ〜。シェフの愛があふれたショットで、でもこんな経営をして いたから苦しくなっちゃったのかもしれないし、どうすればよかったんだろう。 ともあれ、今まで “ヴィノテーク” で得た縁はずっとずっと大切にしていく。 そして今は、こうした縁をつむぐ場がひとつ失われたことを素直に悲しんで、 この記事を書きながらもうるうる‥あのグラッパのように涙があふれそうだよ‥ しばらくは過ごそう。 シェフ‥朝早くからの仕事に慣れるまで当分はすごくたいへんでしょうけれど、 がんばってね。私も “ヴィノテーク” のない生活に慣れるまで‥うわぁ、慣れる なんてできそうもないよー(笑)。 えーと、お店再開資金ゲットのために宝くじしっかり買うから‥待っててね。
by beads-mici
| 2014-09-07 21:36
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